いま話題の対話型AI、ChatGPT。

文章の要約から本の感想、料理のレシピ、プログラミングのコードの生成まで教えてくれます。しかし、欠点もあります。ChatGPTの学習データは2021年9月頃までで、最新の情報に弱く、間違った情報を返してくることも多いのです。

ChatGPTの欠点を補うChromeの拡張機能、「WebChatGPT」の使い方をご紹介します。また、どれだけ間違いを減らせるか、検証してみます。

【WebChatGPT】とは,どんな拡張機能?

「WebChatGPT」(ウェブ チャットジーピーティー)とは、Chromeの拡張機能です。

ChatGPTの回答に、Webの検索ページの情報を追加する機能です。ChatGPTが学習していない2021年10月以降の情報も、回答に組みこむことができます。この記事では、ChatGPT(無料版=GPT3.5)上でWebChatGPTを使う方法について書きます。

「WebChatGPT」の使い方

WebChatGPTにアクセスし、ページ右上の「Chromeに追加」をクリックします。

拡張機能、WebChatGPTの使い方

すぐに試す場合は、そのまま「拡張機能を追加」をクリックします。

WebChatGPTを拡張機能に追加

ChatGPTの画面を呼び出すと、プロンプト(=命令実行文)の入力画面の下に、「Web Access」というアイコンが現われます。

WebChatGPTのメニューが、ChatGPT画面下に現れる

ChatGPT上でオンになっていると、いちばん左のアイコンが緑色になっています。

「3 results」の部分は、検索結果を何記事ぶん組みこむか? を意味します。「5 results」を選べば、検索上位5記事ぶんのデータを読み取ります。10記事ぶんまで設定できます。

「Any time」の部分は、いつの検査結果を読みこむか?(期間)を意味します。「Past Day」は“過去1日以内”の記事ですし、「Past Year」は“過去1年以内”の記事までのデータを採取します。

「Any region」の部分では、地域をしぼることができます。「United States」ならアメリカの検索結果のみ、「Japan」なら日本の検索結果のみを読み取ります。

【使えない?】拡張機能「WebChatGPT」で,間違った情報はどれだけ減るのか?

当サイトの過去記事、拡張機能【WebChatGPT】使い方【ChatGPTの間違いを減らせる?】では、ChatGPT(無料)が返してくる間違った情報の例をご紹介しました。

拡張機能「WebChatGPT」を入れたことで間違いを正せるのか?

「WebChatGPT」の設定を「3 results」「Any time」「Japan」にして、検証してみます。

Q1:サッカーのワールドカップ・カタール大会の優勝国を教えてください

W杯カタール大会の優勝国、WebChatGPT

ChatGPTに質問すると、参照にしたサイトの情報をまとめた上(URLも明記して)で、答えを返してくれます。ただ、ChatGPT無料版の場合、参照サイトの数(=results)を少なめに設定しないと、エラーを起こしてしまいます(一度のやり取りで返せる文字数に、制限があるため)。

サッカーのワールドカップ・カタール大会の優勝国はアルゼンチンです

Q2:現在の日本の総理大臣は誰ですか?

現在の日本の総理大臣は、岸田文雄(きしだ ふみお)氏です。彼は2021年11月10日に第2次岸田内閣の内閣総理大臣に就任しました[1][2].

素晴らしい! Q1とQ2では、2021年10月以降のことを質問しても、正解を出してくれました。では、前回は間違いだらけだった朝ドラについて尋ねてみます。

Q3:朝ドラのおすすめ作品を5つ教えてください

拡張機能WebChatgPTは、リサーチに使えるか?

ChatGPTが紹介してくれた5つの作品について、間違いがないかチェックしてみます。

1.「ちりとてちん」(2007年放送):物語は、料理人を目指す主人公・吉岡千鶴が、江戸時代の高田馬場を舞台に成長していく様子を描いた感動的な作品です。[1] 2.「あまちゃん」(2013年放送):青森県の田舎町を舞台に、アイドルになる夢を持つ女子高生・奥沢海と、その家族や周囲の人々のドタバタな日常を描いた作品です。[3] 3.「半分、青い。」(2018年放送):主人公の青春時代から大人になるまでを描いた物語で、家族や友人、恋人たちとの人間関係が丁寧に描かれています。[1] 4.「カーネーション」(2011年放送):母と娘の人生を描いた物語で、様々な家族の問題を取り扱っています。[1] 5.「まんぷく」(2018年放送):戦後の大阪で、一人の女性が食品会社を興し、夫婦や社員たちと共に日本の食文化の発展に尽力する様子を描いた作品です。[2]

正しくは・・・

1.「ちりとてちん」料理人 ⇨ 落語家、吉岡千鶴 ⇨ 和田喜代美、高田馬場 ⇨ 福井県小浜市大阪府

2.「あまちゃん」青森県 ⇨ 岩手県三陸沖、奥沢海 ⇨ 天野アキ

3と4は大きな間違いこそないものの、抽象的すぎます。「半分、青い。」なら“失聴”や“漫画家”に触れてほしいですし、「カーネーション」なら“洋裁”についての記述は欲しい。

5も、やはりアバウトすぎる。キレイに要約はしていますが、“インスタントラーメン”というワードは欲しかった。

 

拡張機能「WebChatGPT」を使っても、正確な答えを返してくれるとは限りません。むしろ、中途半端に3~10サイトぶんの情報を組みこんだことで、情報の精度が落ちてしまうことも・・・

やはり、現時点ではレポートやブログ記事のリサーチ(情報収集)には使えないようです。使う側に専門性がないと、ファクトチェック(事実かどうかの確認)できないでしょう。