A8.netのファンブログが、2025年4月22日(火)をもってサービス終了になります。ファンブログの公式サイトでは、移転先として「Seesaaブログ」が紹介されています。
引っ越すとしたら、どのブログサービスがいいんだろう?
実際に「Seesaaブログ」でサンプルブログを立ち上げ、記事を投稿してみました
「Seesaaブログ」の使い勝手について語りつつ、ファンブログの引っ越し先としておすすめのブログサービスをご紹介します。
「Seesaaブログ」データの移行がもっともスムーズだが、情報が見つかりにくい
「Seesaaブログ」(シーサーブログ)は、2003年11月にサービスが開始された老舗のブログサービスです。Googleアドセンスが貼れるだけでなく、アフィリエイト広告が許可されている数少ないブログサービスです。記事の編集画面も、ファンブログと似通っています。
引っ越す手順は?
❶ ファンブログ側の
「設定」➤「エクスポート」で、テキストデータを保存します。
❷ Seesaaブログ側の
「設定」➤「インポート」で、MTデータ形式に変換したファイルをインポート(読み込み)します。
Seesaaブログに感じたメリット&デメリット
まず、デザインの着せ替えがワンタッチででき、スムーズです。はてなやアメーバブログだと表を作るのは手間ですが、Seesaaブログだとエディター画面から「表」を作れるのも、Goodです。
また、無料版だとスマホから見たときに運営側の広告が表示されますが、気になる程ではありませんでした。
(⇩ サンプル記事を作りました。表や広告がどう表示されるか、スマホから確認してください)
気になったのは、ブログ周りに関する情報が見つかりにくかったことです
はてなブログやアメーバブログだったら、記事の書き方でわからないことがあってもネット上から解決策が見つかります。
「アメーバブログ アイキャッチ画像 貼り方」
「はてなブログ 見出し 作り方」
のように検索すれば、先輩ブロガーが書いてくれたノウハウ系の記事が見つかるのです。
ところが、Seesaaブログの場合、ブログ周りのことをググっても、検索に引っかかる情報が古いのです。
びっくりしたのは、いまだにURLの暗号化(https:で始まるように設定する)に対応していないブログも多いこと(※ URLがhttp:のままだと、「保護されていない通信」という警告メッセージが出ます)。URLの暗号化は、読者に安心感を持ってもらうために必要な設定です。
運営者のあいだで、ブログ周りの“常識”が共有できていない。ジャンルによっては“過疎化が進んでいる”ように感じました
いちばん心配なのは、運営元が2度も譲渡されていることです。
◆ Seesaaブログ 運営会社の推移 ◆
- シーサー株式会社(2003年11月~)
- ファンコミュニケーションズ(2024年1月~)
- 株式会社したらば(2024年12月~)
A8.netを運営するファンコミュニケーションズが事業を引き継いだものの、1年も経たないうちに手放しているのです。2025年1月現在、Seesaaブログの運営元は、2ちゃんねる型の掲示板で知られる「株式会社したらば」。無料ブログを存続させる経営体力があるのか、気がかりです。
「はてなブログ」収益化の手段も豊富で、ブロガーの交流も活発
「はてなブログ」は、“書く”ことを楽しみたい人向けのブログサービスです。エディター機能がシンプルながらデザイン性が高く、アメブロに匹敵する人気の無料ブログです。
Googleアドセンスだけでなく、ガイドラインの範囲内でアフィリエイトも認められています。「codoc」(コードク)という外部サービスと連携すれば、記事の有料販売も可能。有料版のはてなブログProと契約すれば、独自ドメインも取得できます。
なお、無料版だとはてな側の広告が表示されます。2024年8月には、はてな側の広告枠が増えたと発表がありました。やはり、無料ブログはサービスを存続させるために苦労しているな、と感じます。
引っ越す手順は?
❶ ファンブログ側の
「設定」➤「エクスポート」で、テキストデータを保存します。
❷ はてなブログにユーザー登録し、「はてなID」を取得します。
❸ 移転先となるはてなブログを開設します。
「ブログ作成画面」にて、ブログのURLなど必要項目を入力し、「ブログ作成」ボタンを押します。
❹ はてなブログの管理画面より、「インポート」➤ファイル選択で「MovableType形式」を選択します。
❺ インポートが完了すると、画像をはてなブログに移行するボタンが出てきます。ご自身がアップロードした画像のみを移行します。
はてなブログに感じたメリット&デメリット
はてなブログは運営者たちが積極的に情報発信しており、公式サイドも「お題」を出して盛り上げてくれます。運営者同士が“いいね!”の気持ちを送り合う「はてなスター」という仕組みがあり、趣味でブログを楽しむ人を全面的に応援してくれる雰囲気があります。
しかし、横のつながりが強いぶん、はてな特有の“サークル活動のようなノリ”に付いていけないと、孤立してしまう不安もあります
特に、収益化を目指す場合、
目指すべきブログのスタイルと、はてなのコミュニティで流行っているブログのスタイルのあいだに、かなりの乖離があります。収益化を目的にした場合、はてなのコミュニティとちょうどよい距離感を図るのが難しいのです。
「WordPress」収益化をめざすなら一番だが、引っ越しと初期設定の手間もかかる
「WordPress」(ワードプレス)は、企業から個人ブロガーまで世界中のサイト作成者に選ばれているCMS(=Webサイト生成ツール)です。「レンタルサーバー」、「独自ドメイン」、「テーマ」(=デザインテンプレート)など、ブログを構成する要素にお金を払って運営する、有料ブログです。
無料ブログとのいちばんの違いは、WordPressは「オープンソース」であること。システムを構成するプログラムのコードが一般公開されているため、カスタマイズが自由にできます。広告を自分の好きな場所に貼れますし、デザイン性も拡張性が高いのです。
WordPressテーマ(=ブログの見た目を変えるテンプレート)は、なんと13,000種類から選べます。また、プラグインによってワンタッチで機能を追加することもできます
無料ブログと違って、突然のサービス終了に怯えることもありません。
その反面、セキュリティ対策や設定など、ある程度は自分で行なう必要があります。
【オーソドックスな方法】引っ越す手順は?
❶ WordPressブログを開設する
WordPressブログを開設するには、3つのものが必要です。
レンタルサーバーと独自ドメイン代を合わせて、月々およそ1,100円前後の運営費(=維持費)がかかります。
ブログ収益化をめざすなら、レンタルサーバーは月1,000円前後のプランを選んだほうがよいです
テーマは、Cocoon(コクーン)のような無料テーマでも、じゅうぶんに運営できます。
エックスサーバーの「クイックスタート」を使うと、独自ドメインの取得からWordPressのインストールまで、ひとつの画面からできます。
❷ 記事(テキスト)と画像データを移行する
記事データの移行
まず、ファンブログから記事データをエクスポートします。
WordPressの管理画面にログインして、「ツール」➤「インポート」とすすみます。
上から3項目目、「Movable TypeとTypePad」の「今すぐインストール」を選択し、インポート用のプラグインをインストールします。
表示が変わったら、同じ画面から「インポーターの実行」を押します。
「ファイル選択」でファンブログからエクスポートしたテキストデータを選び、「ファイルをアップロードしてインポート」をクリックします。
「投稿者の割り当て」が表示されたら、任意のユーザーを選びます。新規にユーザー名を登録しても、WordPress側の投稿者名でもいいです。
インポートが成功すれば、「投稿一覧」から移行した記事を確認できます。
無料ブログからWordPressに移行するとき、記事のURLを変更する必要があります。WordPressをインストール後に、パーマリンクの設定を英語表記に変えておきます。
インポートした記事ごとに、パーマリンク(記事ごとのURL)を設定してゆきます。
「投稿一覧」➤「クイック編集」とすすみ、独自ドメインのあとに続くURLの文字列を「スラッグ」に書いてゆきます。
画像の移行
インポートした記事を確認すると、画像も表示されることがあります。
しかし、実際はファンブログ上にアップロードされている画像であり、ファンブログを削除すると表示できなくなります。
ファンブログで表示していた画像をWordPressで表示させるには、
- 画像パス(=画像の住所を示す文字列)を書き換える
- 画像をひとつずつWordPressにアップロードし直す
のどちらかを行なう必要があります。
画像が少ないなら、手作業で一枚一枚、管理画面の「新しいメディアファイルを追加」からアップロードしたほうがエラーは出にくいです。
ドメインを移管するようなファンブログからの引越しの場合、プラグイン「Search Regex」を使うと便利です。一括して画像パスを置換してくれます。
【参考】ドメイン変更を伴った移行を行い、インポートした場合は、画像リンクを置換する
ただし、画像パスの置換やリンクの貼り直しは、無料ブログからの引っ越しでエラーを起こしやすい行程です。もし、難しいと感じるなら、ブログの移行を専門とする「サイト引越し屋さん」に頼むのも手です。
>> 無料ブログからWordPress移行-サイト引越し屋さん用
ファンブログの記事が、Googleインデックスから削除されるのを待つ
移行した記事は、すぐに公開してはダメです。WordPress側の記事とファンブログの元記事、まったく同じ記事が2つインターネット上に公開されると、新しい記事はペナルティの対象となります。
「301リダイレクト」という設定がファンブログ側で可能であれば、すぐに古い記事から新しい記事に訪問者を“転送”できます。しかし、無料ブログはリダイレクト機能が使えません。
2025年4月22日をもってファンブログにはアクセスできなくなりますが、インターネット上にはしばらく留まります。
記事がGoogle検索から削除されたのを確認してから、WordPress側の記事を公開しましょう。
【★おすすめ★】WordPressへ移行する場合のもう一つの方法
無料ブログからWordPressへ移行するとき、もっとも手間がかかり、エラーを起こしやすいのが画像の移行です。画像パス(=画像の住所を示す文字列)を書き換える必要があり、さらに記事内の内部リンクも貼り直さなくてはなりません。
一括で移行させるにはプラグインという拡張ツールを使うのですが、古いバージョンだったり使っているWordPressテーマとの相性が悪かったりすると、不具合を起こすことがあるのです。
よくあるのが、移行のときに使ったプラグインを残しておいたために、ブログが重くなる。他のプラグインと干渉し、不具合を起こす、というケースです
そこで、すべての記事を一括で移行させるのではなく、「アクセスを集めていた記事」や「愛着がある記事」だけを手作業で引っ越すという方法があります。
先に、WordPressブログを開設。“新規ブログ”として、まったく新しい記事をいくつかを投稿。WordPressの使い勝手に慣れてから、ファンブログから“選抜した”記事だけを個別に移行するのです。
WordPressは、ファンブログとはエディター画面も画像のアップロード方法も違います。
WordPressを普通に開設し、記事作成に慣れた状態で、ひと記事ひと記事、個別に移動させるのです。手間はかかりますが、エラーは起こりにくく、移行後のWordPress運営もスムーズになります。もちろん、手作業は大変ですが、20~50記事ぐらいなら何とかなります。
まず、WordPressで普通に新しいブログを開設し、必要最低限の初期設定を済ませます。
開設したWordPressブログで、新しい記事をいくつか投稿してみます。
WordPressのエディター画面や、記事公開までのステップに慣れておきます。
ファンブログでアクセスを集めていた記事、愛着がある記事だけをコピペでWordPressの編集画面に貼り付けます。画像は「メディア」➤「新しいメディアファイルを追加」から、個別にアップロードします。
ファンブログから記事を“選抜”して移行させる、もう一つの理由があります。
もちろん、愛着や思い入れがある記事もあるでしょうが、中には賞味期限の切れた記事、いま公開してもアクセスが見込めない記事もあるはずです
「残したい記事」と「要らない記事」の取捨選択をし、必要な記事だけ手作業で移行させる・・・
そもそも、WordPressを開設するだけでも、初めての人にとっては大変です。ツールを使った移行作業でエラーの対応に追われるぐらいなら、シンプルな手作業で引越したほうが時間をムダにしなくて済みます。
まとめ
ファンブログの引っ越し先として、候補となる3つのブログサービスです。いずれも、Googleアドセンスやアフィリエイト広告を貼ることができます。
- Seesaaブログ・・・もっとも移行がスムーズだが、突然のサービス終了が怖い
- はてなブログ・・・趣味ブログなら文句なしの環境だが、アフィリエイトブログは孤立しがち
- WordPress・・・引っ越し作業も初期設定も面倒だが、サービス終了の不安はなくなる
なお、FC2ブログはGoogleアドセンスのポリシー違反を受けやすく、アメーバブログはA8.netが使えません。収益化を考えるなら、はてなブログかWordPressをおすすめします。
ファンブログのサービス終了は、2025年4月22日(火)。ブログの引っ越し作業は、みなさんの想像以上に時間がかかります。今日から移行作業を始めましょう!