WordPress(ワードプレス)でブログを始めるには、レンタルサーバー代やドメイン代などがかかります。このため、ブログ収益化をめざす初心者に、無料ブログの「はてなブログ」を薦める人は多いです。
確かに、「はてなブログ」は「FC2ブログ」や「アメーバブログ」に比べても、収益化の手段が豊富です。規約の範囲内ではありますが、
- Googleアドセンス
- アフィリエイト広告
の運用が、公式に認められているのです。
さらに、「codoc(コードク)」というサービスを利用して、記事の有料販売まで可能です。noteのように、記事に値段をつけて販売できるのです。
ところが、どんなに収益化の機能が充実していても、実際にはてなブログで収益化するのは極めて難しいです。いちばん大きな理由は、「はてなブログのコミュニティでは、お金を稼ぐスキルが育ちにくいから」です。

FUKUZOU
はてなブログ歴8年、WordPress歴7年の副業ブロガー。2025年2月現在も、はてなブログ&WordPressともに運営しています。
この手の記事を書いている人は、本当ははてなブログを運営していない人ばかりです。筆者は現役のはてなブロガーです。
【はてなブログで収益化が難しい理由とは?】ネットで言われていることと実際は違う
はてなブログではなくWordPressを推す理由として、ネットでは次のような意見が散見されます。
- カスタマイズが自由にできない
- サービス終了のリスクがある
- はてなブログだと、Googleアドセンスの審査に通りづらい
はてなブログに8年も在籍している筆者からすれば、これらは大した問題ではありません。
カスタマイズが自由にできない ⇨ WordPressだってカスタマイズは難しい
ブログのカスタマイズをするには、「CSS」や「PHP」といったコンピュータ言語の知識が必要です。「CSS」や「PHP」の知識がなければカスタマイズできないのは、WordPressも同じ。はてなブログに限ったことではありません。
サービス終了のリスクがある ⇨ はてなブログは事業の中心
はてなはサービス終了のリスクがあるからと言って、WordPress有利説を唱える人がいます。
しかし、はてなの運営元である「株式会社はてな」にとって、「はてなブログ」は事業の根幹を担うサービスです。「株式会社はてな」がブログを手放すのは、UCCがコーヒー事業から撤退するようなもの。基幹事業であるブログサービスから、かんたんに撤退するとは思えません。
Googleアドセンスの審査に通りづらい ⇨ はてなの無料ブログでもアドセンス広告を貼れる
独自ドメインを取得できないはてなブログ無料版だと、Googleアドセンス広告を貼れない・・・と発信する人がいます。まったくのデマです。
確かに、Googleアドセンスは独自ドメインだと合格しやすいです。
しかし、WebにはPublic Suffix Listという仕組みがあります。Public Suffix Listに登録されると、サブドメインが独自ドメインと同等に扱われます。はてなの提供ドメインはPublic Suffix Listに登録されているため、Googleアドセンス広告を利用できます。
独自ドメインが使えない「はてなブログ 無料版」でも、審査に合格してアドセンス広告を貼っている人はいます。
(ただし、アドセンス側のルール改定による影響を受けやすいので、無料版はおすすめしない)

本質は、そこじゃないんです
収益化が難しい「本当の理由」とは?【はてなのコミュニティでは,スキルが育っていなくても読んでもらえるから】
書きたいことを好きなように書くブログ初心者を、全力サポート!
はてなブログでは公式サイドが様々なSNSツールや企画を用意して、ブログ初心者をサポートしてくれます。
- はてなスター・・・運営者同士が「いいね!」の気持ちを伝え合う
- はてなブックマーク・・・他のブロガーの記事をブックマークして、みんなに広める
- はてなグループ・・・同じジャンルのブロガーがコミュニティに参加して読み合う
- 今日のはてなブログ・・・編集部が、お気に入りの記事を公式サイトで紹介してくれる
ブログ運営者にとって、いちばん辛いのは誰にも読まれないこと。
はてなブログでは初心者が挫折しないよう、“誰かに読んでもらえる”工夫をしています。

この仕組み自体は、素晴らしいと思うんです
Google検索に個人ブログが引っかかりにくくなった今、個人ブロガーは行き場を失っています。
ブログ初心者が挫折しないように、公式サイドがここまで支援してくれるブログサービスは他にありません。

ところが、過保護すぎるサポート体制が、“お金を稼ぐチカラ”を育てにくくしているのです
フリーランスとしてひとり立ちするスキルが育ちにくい
ブログでお金を稼ぐとは、「個人事業主として自立すること」です。小さなメディアの経営者となり、読者(=顧客)や広告主との関係をみずから構築してゆかねばなりません。

収益を目的とした時点で、ブログは「ビジネス」(=仕事)です
ピアノ教室を開いているピアノ講師は、人に教えられるだけの演奏技術や音楽の知識があるから職を得ています。ピアノ講師は小さい頃から遊びたいのを我慢して、ピアノの練習をしてきました。毎日のように演奏スキルを磨いてきたから、そのスキルでご飯を食べられます。
プロ野球選手も個人事業主です。野球選手は子どもの頃からゲームやテレビを我慢して、練習に打ちこんできました。「打つ・投げる・走る」のスキルを一流レベルまで磨いたから、高年俸をもらっています。

ブログも同じです。スキルがなければお金は稼げません
ほとんどの人は、ブログを始めてからSEOやライティング、Webマーケティングを勉強します。自分が発信するジャンルやテーマについても勉強を続け、誰かにノウハウを教えることができるようになります。
誰かの役に立つ記事が書けるようになって、初めてお金が発生するのです。

ただの素人が発信する情報に、お金をいただけるほどの価値はありません。情報を発信するだけでお金がもらえるなら、SNSをやっている人は全員お金持ちです。
“価値ある情報”を提供できるように、ブログで収益を得ている人は死に物狂いで勉強し、スキルを獲得します。ピアノ講師やプロ野球選手がそうであるように・・・

ところが、はてなブログではスキルがまったくない状態でも、誰かに読んでもらえます
何を書いても読んでもらえるのだから、「(お金をいただけるほど)誰かの役に立っている」と錯覚し、勉強しようとは思わなくなります。お金を稼ぐスキルは育ちません。
お金を稼ぐスキルを育てようとすると、価値観がぶつかってしまう
2023年秋ごろから、Google検索では圧倒的に企業サイトが優位になりました。
2024年2月にGoogleアドセンスの仕組みが変わり、インプレッション報酬(=広告が見られた回数に対して収益が発生)がメインとなりました。今まで以上にPV数が収益を左右するようになって、アクセスを集めやすい企業が有利になったのです。
個人が大きな収益を得ようと思ったら、少ないPVで収益を得られるアフィリエイトのほうが向いています。

しかし、はてなブログでは、アフィリエイト記事を書くのはとても難しいです。
はてなブログのコミュニティでは、アフィリエイトブログが極端に嫌われる
これは、2020年の話です。
はてなブログでアフィリエイト記事を書いている運営者(Aさん)が、別のはてなブログ運営者(Bさん)のある記事を紹介しました。ブログのカスタマイズに関する記事でした。
記事を引用されたBさんは、

お金もうけのブログに利用された!
と、烈火のごとく怒り出したのです。
「嫌儲(けんもう)思想」という言葉があります。日本では、ネットでお金を稼ぐ人に対して、過度にアレルギー反応を示す人たちがいます。
「嫌儲思想」の例が、アフィリエイトに対する嫌悪感です。
「アフィカス」(=アフィリエイト広告で儲けているカス野郎)という蔑称に代表されるように、インターネットでお金を稼ぐことを嫌う人たちが多いのです。
筆者はアフィリエイト記事を書いてみて、ブログ運営者の中にも「嫌儲思想」は根強いのだと痛感しました。
はてなブログお知らせレターに見る、収益化の難しさ【コミュニティは収益型ブログを歓迎していない】
はてなブログでは、2022年6月に公式サイドが「はてなブログ収益化攻略ガイド」というページを発表しました。おもにGoogleアドセンスの設定方法を解説したページなのですが、このページが公開されてから、運営側に対して多くの反対意見が集まりました。

はてなブログは「日記ブログ」と「収益型ブログ」、どっちの味方なの?
はてなブログでは、以前はアフィリエイトに厳しい規制がかかっていました。ただ、公式サイドはガラッと方針を変え、2019年10月より規約の範囲内でアフィリエイトが認められるようになりました。
しかし、昔から趣味としてブログを運営したきた人の中には、公式サイドの方針転換に反発する人たちもいました。副業目的ではてなブログを始める人が増えて、
自分たちの畑を荒らされる
と感じた人も多いのです。
また、アフィリエイトブログからはてなスターをもらうと、“自分が押し売りされていると感じる”人もいるそうです。

アフィリエイトブログにフォローされたくない。僕に売り込みしても、「絶対」買わないからな!

営業目的で、はてなスターを送ってはいる訳じゃない。「いいね」の気持ちを伝えたいだけなのに・・・
アフィリエイトに敵意を持っている運営者も多く、収益型ブログが趣味ブログと交流するのが難しいのです。
はてなブログのコミュニティでは、「収益型ブログ」は少数派

はてなブログでは、様々な目的でブログを運営している人がいます。
趣味について熱く語るブログ、書き手の個性が見える日記ブログ、短歌やイラストを発表する創作ブログ・・・さまざまなブログと出会えるのが、はてなブログのメリットです。

だから、僕ははてなブログが好きなんです
しかし、どんなに素晴らしいコミュニティであっても、必ず多数派と少数派を生みます。
◆ はてなブログで大多数を占めるブログのタイプと、収益化できるブログの割合 ◆


みんなが日記のような記事を書いているなか、10時間もかけて専門記事を書けば、周囲から浮きます
周りの目を気にしない“鋼のメンタル”があるなら、はてなブログでも収益化は可能。
しかし、周りのブロガーからの視線が気になり出すと、途端にセールスの記事を書きづらくなります。空気を読む人であればあるほど、収益化が難しくなります。
WordPress(ワードプレス)には、コミュニティは存在しません。コミュニティからのアクセスは期待できませんが、コミュニティが作る“同調圧力”に左右されずに発信ができます。他のブログ運営者の顔色を伺わなくとも、セールスの記事を書けるのです。
まとめ
Yahoo!ブログ、LINEブログのように、サービス終了となるブログサービスが増えています。
日々の思いを吐き出す場を求めている人たちが、

はてなブログは「書きたいことを好きなように書く」ブロガーの味方であってほしい
と思うのは当然です。

そういう人たちの気持ちも、よくわかるんです
だから、難しい。
はてなブログの運営サイドも、「趣味でブログをやる人」と「収益目的でブログをやる人」、どちらの要望にも応えたいと苦慮しているんだと思います。
しかし、多数派と少数派がいれば多数派の意見が強くなる、のがコミュニティの性(さが)。はてなブログのコミュニティでは、収益目的のブログを嫌う人たちの意見が強い。

「セールスの記事は認めない」という空気感の中、アフィリエイト記事を書くのは正直しんどいです
ブログを趣味として楽しんでいる人たちと、どう距離感を取るか?
筆者が8年間のはてなブログ運営で、もっとも難しいと感じた部分です。
よかれと思って、「ブログで収益を得たかったら、もっと勉強をしなきゃダメだ!」と発信し、ブログを趣味で楽しみたい人たちから反発を招いたこともあります。
(※ これは価値観の異なる人たちへの配慮を欠いた、筆者の未熟さにも原因があります)

社風やサークルのノリが合わなくて、居心地の悪い思いをした経験はありませんか? はてなで収益化をめざすと、似たような体験をします
収益を目的とするなら、WordPressのほうが断然おすすめです。周りに同調しなくていいから、精神的に楽なんです。記事の質を高めることに集中できます。
昔と違って、WordPressブログも始めやすくなりました。
エックスサーバーの「簡単インストール」なら、難しい手続きなしですぐにWordPressを開設できます。表示速度も速く、わからないことを聞けるサポート体制も万全。副業ブログを始めたいガチ勢の人には、エックスサーバーがおすすめです。
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エックスサーバーほど表示速度は早くないものの、500円前後でWordpresを使えます。はてなブログPro(月額800円)より安く、本格的なブログを運営できます。